安全配慮義務違反とは
安全配慮義務
安全配慮義務とは、労働契約の場面を念頭に置くと、使用者が労働契約に付随して信義則上労働者の生命、身体及び健康の安全に配慮すべき義務のことをいいます。
これは、労働者が使用者の指定した場所に配置され、使用者の供給する設備等を使用して労務提供を行うことから、使用者の労働者に対する指揮監督性や管理支配性を根拠として、労働者を保護するために使用者に課される義務です。
その基本的な内容としては、労働者の業務の遂行が安全になされるように使用者として予測し得る危険を排除し得る物的・人的諸条件を整える義務であり、会社が、このような物的・人的諸条件を整える義務に違反する疑いがある場合、使用者に対し、安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求を検討することになります。
安全配慮義務違反の有無は、業種、作業内容、作業環境、被災者の地位や経験、事故の具体的状況等の様々な要素を総合的に考慮して内容が決定されるため、ご相談の際は、諸事情について詳細にお伺いさせて頂きます。
事故・災害の場合
事故、災害が労務に起因して発生した場合、安全配慮義務の具体的内容としては、使用者が物的環境を整備すべき義務として、施設の整備・点検義務や、道具・機器等の安全設備を備えておく義務が挙げられます。例えば、工場内におけるプレス機械の使用に従事する労働者に対し、当該プレス機械に安全装置を設置しておくべき義務等が認定された裁判例があります(大阪高裁平成23年2月17日判決)。
また、人的諸条件の整備義務としては、職場におけるフォークリフトとの衝突事故において、フォークリフトの移動に際して誘導者を配置するよう業務管理すべき義務があるとされた裁判例があります(福岡高裁宮崎支部平成23年11月30日判決)。
労務事故、労務災害の場合、労働者安全衛生法や労働安全衛生規則が規定する義務内容に違反するか否かが争点となるケースが多いといえるでしょう。
企業による、安全配慮義務違反が疑われる場合は、まずは弁護士にご相談ください。企業在職中に対応すべき事柄など、お伝えをさせていただきます。お早めにご相談ください。