墜落・転落事故
墜落・転落事故は業務中の労災事故の中でも件数が多く、重篤な結果が発生しやすい事故類型といえます。
労働災害による死亡者数は年々減少傾向にあるものの、近年において労災死亡事故のうち約30%弱を墜落・転落事故が占めているという現状があります(平成29年「労働災害統計」厚生労働省)。
会社、元請けに対する損害賠償が可能なケースも
重篤な後遺障害を負ったり、お亡くなりになることが多い墜落・転落事故では、労災保険から相応の給付(数百万円から数千万円)がなされることが少なくありません。
さらに、会社側の安全配慮義務違反や不法行為責任が認められる場合には、労災保険給付とは別に、会社等に対して損害賠償を請求できるケースも多いのです。
しかしながら、労災保険からの給付のみで、会社からの適正な損害賠償が実現されていないケースも存在するところです。
墜落・転落の労災事故が特に多い業界~建設業~
墜落・転落事故の中でも、特に建設や製造の現場で足場や梁、母屋、屋根等での作業中に落下し、亡くなってしまうという事故が多く、後を絶たちません。全業種の中でも、建設業での死亡事故が33%と高い割合を占めています(前出平成29年「労働災害統計」)。
一例として、建設現場における事故の中でも最も多い「足場」からの墜落・転落による死亡事案の行動内訳(下図)を見てみると、既に組み上がった足場上での作業中または移動中が56.8%と最も多く、続いて足場の組立てまたは解体作業中の35.4%ですが、いずれのケースにおいても、会社、元請けに対する損害賠償の請求が認められた例が多くあります。